社長の一言

2023.03.23

3月

 

袴田ひで子さん(90)は柔和なほほ笑みを絶やさない人ですが、ときおり鋭い眼光が垣間見られます。

この人の半生はほぼ一人の男性のために費やされました。袴田巌さん(87)実の弟です。

そもそも袴田事件はなぞの多い事件でした。

1966年県警は袴田さんを殺人容疑者として逮捕しますが、状況証拠と自白で検察は起訴をします。

ところが一転して公判で袴田被告は無実を主張します。

自白が無効であると裁判は難しくなります。

検察は裁判開始12か月経って血痕のある衣服を袴田さんのものとして証拠提出します。

80年死刑判が決定しますが、この衣服が今回の高裁差戻しの証拠となったのは、皮肉と言わざるを得ません。

刑法では「疑わしきは罰せず」の原則があります。

さらに、犯罪学ではこの人はこういう人だからという本来あってはいけない先入観を持つ「ラベリングアプローチ」という概念があり、

袴田さんを例にとるなら元ボクサーは粗暴な人間、ゆえに殺人を犯しかねない、という先入観となります。

袴田さん姉弟に一日でも早く、静かで平穏な日々が戻ることを心から願っています。

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